読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

(define -ayalog '())

括弧に魅せられて道を外した名前のないプログラマ

説得とヤル気の科学を読んだ。人には薦めたくない1冊。

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

原著のタイトル「How to Get People to Do Stuff」ですね。ぐるぐるした表紙が印象的な本で、紀伊国屋に行くと心理学コーナーに置いてあるオライリー本です。

さて、この本を人に薦めたいかと聞かれたら僕はNoと答えます。何故なら、「どうやったら人を動かすことが出来るか」を事細かく書いてあるから。まぁ言いたいことは分かりますよね。さらに著者は実の子どもから「母さんには、子育てで心理学の裏ワザを使われちゃったからねえ」と責められるほどのプロ。とは言え、結構面白かったのでいつもどおり紹介したいと思います :)

第1章 人をヤル気にさせる要因
第2章 帰属意識
第3章 習慣
第4章 物語の力
第5章 アメとムチ
第6章 本能
第7章 熟達願望
第8章 心の錯覚
第9章 ケーススタディ
第10章 ストラテジー一覧

まず人のヤル気にさせるのに7種類の要因があるというところから始まるんだけど、その7種類は目次に出ている通りです。それでその7種類の要因の章ごとに細かくストラテジーが書いてある。そして、そのストラテジーの説明が終わるとそれをワンフレーズにして覚えやすくしたようなコピーが書いてある。例えばこんな感じ。

ストラテジー1
他者との絆を相手に感じさせると、意欲が増す。

内容的には「影響力の武器」とかに出てきている話も結構あると思う(まだそっちは読めてないけど)。あと「モチベーション3.0」あたりの話も出てくるかな。これはアメとムチの話あたりだったと思うけど。「説得とヤル気の」って書いてあるくらいだから、てっきり「相手をどうにかしたい」人向けの本かなーって思ったんだけど存外そうでもないみたいで、読みながら自分をコントロールするのにも使えるなーと感じました。

一番印象的だった章は第4章の「物語の力」です。ペルソナ*1に関する話で、よく何するにしても「対象とする人のペルソナを考えろ」みたいなこと言われるじゃないですか。モノを売り込むにしても、作るにしてもどっかで一度くらいは言われたことがあると思います*2。そういうときはあんまり深く考えることってないというか、なんとなく言われたとおりに「ペルソナ」ってそもそもなんだっていうのを軽くググって、その場しのぎ的にちょっと考えてペルソナを作ってみてみたいなこと逃げちゃってたんだけど、これ読んだら「ああ、ペルソナ大事だわ」って思った。相手のペルソナを知ることで「ストーリーエディティング(物語の再構築)」や「ストーリープロンプティング(物語促進)」という技が使えるようになる。いや、そんな一朝一夕で身につく技じゃなさそうだけど、自分自身にも使えるから「新しい私デビュー」みたいなことも出来るようになるし、たぶん人生捗る。保証はしない。
これが出来ると何が嬉しいかって、エンジニアに分かりやすく説明するなら「頑張ればVim派をEmacs派にできる」かな。あるいは「Apple信者をMS信者にすることができる」とか「RubyエンジニアをLisp信者にできる」とか。
簡単に説明するなら、人は誰しもペルソナを持っていて既存のペルソナによって意思決定等が左右されることがあるんです。で、ペルソナは言い換えるならロール(役割)みたいなもんなんでブレることを人は嫌いますと。たとえ話をすると「私はいい人なので、ボランティアや寄付に積極的です」というペルソナを持った人がいるなら、この人に対して「貴方が寄付することで救える命があるんです」みたいなプレゼンをすれば当然その人は自分のペルソナとブレたことをしたくないので、間違いなく寄付してもらえることが出来ますと。まぁこんな単純じゃないんですけど。相手のペルソナを知ることで、自分にとって都合の良い答えを得ることが出来るのです。あるいは、新しいペルソナを相手に植え付けることも頑張れば出来る。スゴイなー。
あとは「ラベル付」と言われるようなこともストーリーエディティングで出来る。これは「あなた達はこの学校で一番綺麗好きだから云々」と学校で言い続けると、そのストーリーのペルソナを演じようとするんだと。これは「プロパガンダ」で読んだんだっけ?なんか最近似たような話をなんかの本で読んだ気がする。
そういうわけで個人的に一番良かったなーと思ったのはこの章ね。勿論、他の章もめちゃくちゃ面白いです。というか、笑えるとこもちょいちょいあるし読みやすいですよ。

ちょっとだけのつもりが長くなり始めたんで、これを見たら読みたくなるっていうのを少し抜粋しましょう。9章の「ケーススタディ」より。

  • 慈善事業への寄付をしてほしい
  • 自主的に判断をして仕事をしてほしい
  • 採用してほしい
  • 入社してほしい
  • 新規に契約してほしい
  • 子供たちに家でも楽器の練習をしてほしい
  • 顧客に「宣伝役」になってほしい
  • 投票してほしい
  • もっと健康的な生活を送ってほしい
  • 確認作業をしっかりしてほしい
  • 市民にリサイクルを実践してほしい

こんな感じのケーススタディがそれまでに書かれているストラテジーを組み合わせて、どうしたら良いかという説明付きで書かれています。どうです?読みたくなったでしょう?
というわけで、僕的にはとても満足出来た本でした。ちゃんちゃん。

*1:「ペルソナッ」カッ!!ってやつじゃないですよ

*2:ない?ないかな?